Rainy days never stay~心の傷痕~
一瞬の出来事で、余りにもスマートにやってのけるので、初めは何をされたかわからなかった。

当の長谷川さんは気にした様子もなく、そのまま去って行こうとする。

去り際、何かを思いつき、ポケットから名刺を出し何やら書くと、私に差し出した。

差し出されたので、思わず受けとってしまう。

「これ、俺の携帯連絡先。」

「え??、っ、あの!!」

「良かったら、そのアドレスに千葉さんの連絡先入れてメールして。」

そして、今度こそ彼は去っていった。

私は暫く長谷川さんが消えた方向を見つめながら放心状態。





・・・どうしよう、受け取ってしまった。

「お待たせ~、ごめんね遅くなっちゃった。」

丁度そのときタイミング良く、本当にタイミング良く小牧さんが現れる。

「っ!? いえっ、大丈夫です。」
 

「どうかした? 固まってた様に見えたけど。」

「・・・そんなことないですよ。」
必死で普通を装う。

「長谷川君に何か言われた??」

小牧さんが私の手元に視線を移す。

私の手には、先ほど彼から受け取った名刺が握られてる。
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