Rainy days never stay~心の傷痕~
「ちょっと買い出しに行ってくるので、先に中に入ってて下さい。」

「それなら、私が行って来ます。」

こういう時、後輩が行かないといけないよね。

「大丈夫ですよ、気を使わないで。直ぐそこですから。
ちょっと氷を買ってくるだけなので。」

「・・・分かりました。行ってらっしゃい。」

余りしつこく言うのも迷惑と思い、私は従うことにした。


「誰かにそう言って貰えるのって、良いものですね。」

「はいっ?今何か・・・。」

「いいえ、独り言です。じゃ、行って来ます。」

そう言ってにっこり微笑むと、彼は夜の闇に消えていった。




これが彼との初めての出逢い。
少なくとも、私はそう思っていた。




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