Rainy days never stay~心の傷痕~
「あの、シャワー借りても良いですか?」

「ちょっと待ってて、タオル持ってくるから。」

彼は何も言わず、私をバスルームに案内してくれた。

多分、私が何を思っているか彼は気付いてる。

服を脱ぎ、バスルームのドアを開ける。

バスタブにはお湯が並々に満たされていた。

いつ溜めたんだろう??

行動がスマートすぎて、私は思わず苦笑いしてしまった。

体を洗い流し、お風呂に首まで浸かる。

静かな空間。

独りになると、あのときの映像が頭を過ぎり、恐怖心が甦ってくる。

自分で思っている以上に、心に大きな傷を負っていることに気付く。

触れられた所、全てが気持ち悪い。

私は自分を庇う様に、お湯の中で体を丸くした。
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