Rainy days never stay~心の傷痕~
「ねぇ、ここ来て。」

彼が自分の膝を叩く。

「・・・でも。」

「何も変なことしないよ、抱きしめるだけだから。消毒だけさせて。」

私は素直に従った。

正直、私もあの忌まわしい記憶を消し去って欲しかったから。

私が彼の膝の中に納まると、後ろから強くギュッと抱きしめられる。

「ごめんな、もう少し早く助けてあげられなくて。」

「そんな・・・。そもそも勝手に1人で帰った自分が悪いんですから。」

「君の性格、理解しているつもりだったのに。
もう少し考えれば君の行動も予測できた。」

彼は私の肩に顔を埋める。

「長谷川さん、私のこと甘やかし過ぎです。
そんなんじゃ私、ダメな人間になっちゃう。」

「その自分に厳しい所、俺は好きだよ。」

だから、それがダメなんだってば。
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