主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
主さまの喉が鳴った。
自分は美味しそうに見えているのか見えていないのか…
主さまとあの絵の女は一体どうなっているのか…
聞きたいことが沢山ありすぎて、さっきからずっと黙ったままの主さまが…
噛まれた右肩の噛み痕に細く長い指でつっと撫でるように触れてきて、息吹は顔を真っ赤にしながら顔を逸らした。
「た、食べるの?今?今すぐに?」
「…太るまでは食べないと言ったはずだ。胸もなければがりがりだし、俺の好みじゃ…」
「胸だってまだ成長するはずだもん!少しはあるでしょっ?」
「な…っ、や、やめろ!手をはな………」
――息吹が噛み痕を撫でていた右の手首を急に掴んで左胸に押し付けてきて、主さまは恐慌状態に陥った。
「あるの?ないの?どっち?もっと太った方がいいの?何を食べたらもっと太るの?主さま、答えてよ」
思うが儘に動きそうになる手を精一杯理性で封じ込めて奮闘する主さまの努力も虚しく、息吹が泣きそうな顔になって、肩で大きく息をつきながら瞳を閉じて息吹を見ないようにした。
それでも高千穂へ息吹を連れて行くわけにもいかず、また食うわけにもいかず…
馬鹿にするように鼻を鳴らして力を込めて息吹の胸に乗っている自身の手を引き剥がした。
「小さいし、がりがりだし、お前を食う前に晴明を説き伏せる必要がある。これが1番難儀だし、俺に食われるほどの良い女なつもりか?笑わせるなよ」
「…ひどい…」
そう言いながらも掌にはまざまざと胸の感触が残っていて、どうやってこの熱を拭い去ろうか考えているうちに、今度は息吹が馬乗りになってきて、押し倒されてしまった。
「お、おい、いぶ…」
「主さまなんか…こうしてやるから!」
がぶっ
…襟元をはだけさせられて呆然としているうちに息吹が右肩を思いきり噛んできた。
くっきりと息吹の歯形が残った部分は…昨晩自分が息吹の肩につけた位置と全く同じ場所だった。
「よくもやったな」
「仕返しするの?負けないんだから!」
主さまが身体を起こして逆に…息吹を押し倒した。
「覚悟しろ」
自分は美味しそうに見えているのか見えていないのか…
主さまとあの絵の女は一体どうなっているのか…
聞きたいことが沢山ありすぎて、さっきからずっと黙ったままの主さまが…
噛まれた右肩の噛み痕に細く長い指でつっと撫でるように触れてきて、息吹は顔を真っ赤にしながら顔を逸らした。
「た、食べるの?今?今すぐに?」
「…太るまでは食べないと言ったはずだ。胸もなければがりがりだし、俺の好みじゃ…」
「胸だってまだ成長するはずだもん!少しはあるでしょっ?」
「な…っ、や、やめろ!手をはな………」
――息吹が噛み痕を撫でていた右の手首を急に掴んで左胸に押し付けてきて、主さまは恐慌状態に陥った。
「あるの?ないの?どっち?もっと太った方がいいの?何を食べたらもっと太るの?主さま、答えてよ」
思うが儘に動きそうになる手を精一杯理性で封じ込めて奮闘する主さまの努力も虚しく、息吹が泣きそうな顔になって、肩で大きく息をつきながら瞳を閉じて息吹を見ないようにした。
それでも高千穂へ息吹を連れて行くわけにもいかず、また食うわけにもいかず…
馬鹿にするように鼻を鳴らして力を込めて息吹の胸に乗っている自身の手を引き剥がした。
「小さいし、がりがりだし、お前を食う前に晴明を説き伏せる必要がある。これが1番難儀だし、俺に食われるほどの良い女なつもりか?笑わせるなよ」
「…ひどい…」
そう言いながらも掌にはまざまざと胸の感触が残っていて、どうやってこの熱を拭い去ろうか考えているうちに、今度は息吹が馬乗りになってきて、押し倒されてしまった。
「お、おい、いぶ…」
「主さまなんか…こうしてやるから!」
がぶっ
…襟元をはだけさせられて呆然としているうちに息吹が右肩を思いきり噛んできた。
くっきりと息吹の歯形が残った部分は…昨晩自分が息吹の肩につけた位置と全く同じ場所だった。
「よくもやったな」
「仕返しするの?負けないんだから!」
主さまが身体を起こして逆に…息吹を押し倒した。
「覚悟しろ」