主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
“味見だ”と言い訳しながらまた唇を重ねた。
すぐ隣の部屋には山姫や雪男が居る。
そのぎりぎりの環境が主さまをさらに高揚させた。
重なり合った唇の音が何度も鳴っては息吹の表情もどんどん女らしくなっていって、軽々と息吹を抱き上げると自分の寝室に連れ込んで押し倒し、帯に手をかけた。
「っ、主さま、駄目…っ」
「覚悟しろ、と言ったはずだ。いいかよく聞け。俺は女を食う前に、まず最初に抱く。その意味がわかるか?」
息吹の顔がかあっと熱くなり、言いたいことが伝わったのを確認すると身を竦ませた。
「お前もいずれそうなる。俺に抱かれて、その後食われて、俺の一部となる。…それを早めたいのか?こんな貧相な身体で俺を誘うのか?冗談でも笑えない」
「…食べられる時って…痛いの?食べた後…私のことをずっと覚えててくれる?」
…健気にそう言われて、抑制の利かなくなった主さまはまっさらな息吹の白い肌を直視してしまって、また強引に唇を奪って耳元で囁いた。
「痛みを感じないほどに虜にさせてから、食う。俺がその後お前を覚えているか覚えていないかは……お前次第だ」
「…っ、やだ主さま、助平っ」
「大きな声を出すな。こんな姿をあいつらに見られたいのか?」
――主さまは胸元から腕を抜いて上半身をはだけさせ、馬乗りになられたままの息吹は意外とたくましい主さまの腕や胸から目を離せなくなって、顔を覆うと悶えた。
「主さま怖い、ごめんなさい、まだ食べないで…お願い…」
「…俺が“食い時”だと判断したら否が応にもお前を食う。高千穂の件は少し考えさせろ」
今までずっと食われたがっているような口ぶりだった息吹が“食べないで”と言ったことで、主さまはとても安心していた。
まだしばらくは、一緒に居れる。
「着物を着ろ。俺は少し出かけて来る」
「…はい。主さま、ごめんね?」
「何を謝っているのかわからん。早く着替えろ」
そう言って縁側の方から外に出て、大きく息をついた。
「…危なかった」
自分を抑えられなくなる。
すぐ隣の部屋には山姫や雪男が居る。
そのぎりぎりの環境が主さまをさらに高揚させた。
重なり合った唇の音が何度も鳴っては息吹の表情もどんどん女らしくなっていって、軽々と息吹を抱き上げると自分の寝室に連れ込んで押し倒し、帯に手をかけた。
「っ、主さま、駄目…っ」
「覚悟しろ、と言ったはずだ。いいかよく聞け。俺は女を食う前に、まず最初に抱く。その意味がわかるか?」
息吹の顔がかあっと熱くなり、言いたいことが伝わったのを確認すると身を竦ませた。
「お前もいずれそうなる。俺に抱かれて、その後食われて、俺の一部となる。…それを早めたいのか?こんな貧相な身体で俺を誘うのか?冗談でも笑えない」
「…食べられる時って…痛いの?食べた後…私のことをずっと覚えててくれる?」
…健気にそう言われて、抑制の利かなくなった主さまはまっさらな息吹の白い肌を直視してしまって、また強引に唇を奪って耳元で囁いた。
「痛みを感じないほどに虜にさせてから、食う。俺がその後お前を覚えているか覚えていないかは……お前次第だ」
「…っ、やだ主さま、助平っ」
「大きな声を出すな。こんな姿をあいつらに見られたいのか?」
――主さまは胸元から腕を抜いて上半身をはだけさせ、馬乗りになられたままの息吹は意外とたくましい主さまの腕や胸から目を離せなくなって、顔を覆うと悶えた。
「主さま怖い、ごめんなさい、まだ食べないで…お願い…」
「…俺が“食い時”だと判断したら否が応にもお前を食う。高千穂の件は少し考えさせろ」
今までずっと食われたがっているような口ぶりだった息吹が“食べないで”と言ったことで、主さまはとても安心していた。
まだしばらくは、一緒に居れる。
「着物を着ろ。俺は少し出かけて来る」
「…はい。主さま、ごめんね?」
「何を謝っているのかわからん。早く着替えろ」
そう言って縁側の方から外に出て、大きく息をついた。
「…危なかった」
自分を抑えられなくなる。