主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
余韻に浸ることなく自分を差し置いて息吹の手を握ったのは…雪男だった。
「息吹…!お前が無事で本当に良かった!」
「うん、心配かけてごめんね?雪ちゃん火傷しちゃうよ、離して!」
「いやだ。主さまも怪我したし…すっげ心配した。本当に平気か?怪我は?」
「離せ。俺のものに触るな」
鞘で雪男の手を思いきり叩くと猫又が息吹の脚にまとわりつき、主さまは晴明の呼んだ八咫烏の背に乗った。
「息吹、こっちに来い」
「うん」
…2人の雰囲気が少し違う。
雪男はそれを敏感に感じ取ったが、晴明が慰めるように肩を叩き、ぼそりと呟いた。
「息吹には好いた男が居るようだ。さて、それは誰なんだか。私かもしれぬぞ」
「…娘を嫁にするつもりかよ。息吹、待てって!」
洞窟から飛び立った息吹たちを追いかけて雪男が猫又に乗ると追いかけてゆく。
晴明はもう見えなくなった鬼八と鵜目姫が昇った方角を見上げるとため息をついた。
「あの子にはまだ秘密があるやもしれぬなあ。人なのか、あるいは……今はよしておこう。愛娘の無事を祝わなければ」
――定宿に向かいながらも息吹は腰を抱かれている主さまの手を意識しまくっていた。
「あの…主さま、ちゃんとまっすぐ乗っていられるから支えなくても大丈夫だよ」
「駄目だ。お前…どれだけ心配させたと思っている?少し黙ってろ」
怒られながらも頬を膨らませた息吹は先ほどの雪男の言葉を思い出し、八咫烏が飛行する中態勢を入れ替えて主さまと向き合うとぎょっとさせた。
「な、なんだ?」
「見せて!怪我したんでしょ!?」
いきなり胸元をはだけさせられ、じっくりと見分している息吹は真剣な顔をしていたが…
対して主さまの顔は真っ赤になった。
「やめろ!離せ!」
「この傷ひどい…!主さま…助けてくれてありがとう」
涙ぐみ、唇を震わせた息吹が胸に顔を預けてきた。
「…当然だろう、俺のものにちょっかい出すからだ。これからは俺から離れるな」
「はい…。ありがとう主さま」
良い雰囲気になり、顔がにやけた。
「息吹…!お前が無事で本当に良かった!」
「うん、心配かけてごめんね?雪ちゃん火傷しちゃうよ、離して!」
「いやだ。主さまも怪我したし…すっげ心配した。本当に平気か?怪我は?」
「離せ。俺のものに触るな」
鞘で雪男の手を思いきり叩くと猫又が息吹の脚にまとわりつき、主さまは晴明の呼んだ八咫烏の背に乗った。
「息吹、こっちに来い」
「うん」
…2人の雰囲気が少し違う。
雪男はそれを敏感に感じ取ったが、晴明が慰めるように肩を叩き、ぼそりと呟いた。
「息吹には好いた男が居るようだ。さて、それは誰なんだか。私かもしれぬぞ」
「…娘を嫁にするつもりかよ。息吹、待てって!」
洞窟から飛び立った息吹たちを追いかけて雪男が猫又に乗ると追いかけてゆく。
晴明はもう見えなくなった鬼八と鵜目姫が昇った方角を見上げるとため息をついた。
「あの子にはまだ秘密があるやもしれぬなあ。人なのか、あるいは……今はよしておこう。愛娘の無事を祝わなければ」
――定宿に向かいながらも息吹は腰を抱かれている主さまの手を意識しまくっていた。
「あの…主さま、ちゃんとまっすぐ乗っていられるから支えなくても大丈夫だよ」
「駄目だ。お前…どれだけ心配させたと思っている?少し黙ってろ」
怒られながらも頬を膨らませた息吹は先ほどの雪男の言葉を思い出し、八咫烏が飛行する中態勢を入れ替えて主さまと向き合うとぎょっとさせた。
「な、なんだ?」
「見せて!怪我したんでしょ!?」
いきなり胸元をはだけさせられ、じっくりと見分している息吹は真剣な顔をしていたが…
対して主さまの顔は真っ赤になった。
「やめろ!離せ!」
「この傷ひどい…!主さま…助けてくれてありがとう」
涙ぐみ、唇を震わせた息吹が胸に顔を預けてきた。
「…当然だろう、俺のものにちょっかい出すからだ。これからは俺から離れるな」
「はい…。ありがとう主さま」
良い雰囲気になり、顔がにやけた。