主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
晴明の腕に抱かれた息吹がうとうとし始めたので、主さまたちは床が敷いてある部屋に移動すると息吹を真ん中にして横になった。
「どれ、父様が腕枕をしてあげようか」
「嬉しい!父様…幽玄町に戻ったら…母様と父様の恋の応援…する…から…」
「おや、それは嬉しいねえ。おやすみ息吹」
そう囁くとまるで呪いにかかったかのように息吹が眠ってしまった。
…晴明の目を盗んで、と少しだけ期待してしまっていた主さまは面白くない展開が続いてふてくされながら背を向けると、ひそりと笑う気配がした。
「…うるさい」
「まだ何も言ってないのだが」
「もう小言は聴きたくない。俺をこれ以上からかうと山姫には近づけさせないからな」
「では山姫から私に近づくようにすればいいのだな?」
自信に満ちた晴明の声に肩越しに振り返ると、息吹の頬にべたべたと触れていたのでむかっとした主さまは息吹を抱き寄せた。
「何をする。私の娘に触れるのではないぞ」
「お前は息吹が惚れた男を知っているのか?」
晴明の眉が上がり、その反応でこの男がそれを知っているとわかるとさらにむかっとした。
…自分は知らないのに。
どうしてこの男は息吹の全てを知っているのだろうか。
「知ってはいるが…息吹の口から聴かねばそなたも納得せぬだろう?私から言うのもおかしいし、まあ時を待て」
「…お前はいちいち腹の立つ奴だな」
そう言いつつもすやすやと眠っている息吹は可愛らしく、また抱き寄せようとすると…
「息吹、そなたの隣で興奮してよからぬことをしようとしている奴がいるからこっちに来なさい」
「ん…父様ぁ…」
なんと、晴明が真ん中に。
胸やけしそうになった主さまが睨みつけると、息吹の手が晴明の背中に回って抱き着いているのが見えて内心激怒。
「こらこら息吹、父様とて男なのだぞ?もし間違いが起きたとしても父様が幸せにしてあげるからね」
「…そんなことには絶対させないからな」
「ほう?息吹が誰を好いているのかも知らぬくせに」
「…」
…やはり最大の敵は、この父代わりの男らしい。
「どれ、父様が腕枕をしてあげようか」
「嬉しい!父様…幽玄町に戻ったら…母様と父様の恋の応援…する…から…」
「おや、それは嬉しいねえ。おやすみ息吹」
そう囁くとまるで呪いにかかったかのように息吹が眠ってしまった。
…晴明の目を盗んで、と少しだけ期待してしまっていた主さまは面白くない展開が続いてふてくされながら背を向けると、ひそりと笑う気配がした。
「…うるさい」
「まだ何も言ってないのだが」
「もう小言は聴きたくない。俺をこれ以上からかうと山姫には近づけさせないからな」
「では山姫から私に近づくようにすればいいのだな?」
自信に満ちた晴明の声に肩越しに振り返ると、息吹の頬にべたべたと触れていたのでむかっとした主さまは息吹を抱き寄せた。
「何をする。私の娘に触れるのではないぞ」
「お前は息吹が惚れた男を知っているのか?」
晴明の眉が上がり、その反応でこの男がそれを知っているとわかるとさらにむかっとした。
…自分は知らないのに。
どうしてこの男は息吹の全てを知っているのだろうか。
「知ってはいるが…息吹の口から聴かねばそなたも納得せぬだろう?私から言うのもおかしいし、まあ時を待て」
「…お前はいちいち腹の立つ奴だな」
そう言いつつもすやすやと眠っている息吹は可愛らしく、また抱き寄せようとすると…
「息吹、そなたの隣で興奮してよからぬことをしようとしている奴がいるからこっちに来なさい」
「ん…父様ぁ…」
なんと、晴明が真ん中に。
胸やけしそうになった主さまが睨みつけると、息吹の手が晴明の背中に回って抱き着いているのが見えて内心激怒。
「こらこら息吹、父様とて男なのだぞ?もし間違いが起きたとしても父様が幸せにしてあげるからね」
「…そんなことには絶対させないからな」
「ほう?息吹が誰を好いているのかも知らぬくせに」
「…」
…やはり最大の敵は、この父代わりの男らしい。