主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
息吹がなかなか主さまの部屋から出てこないので気になった晴明は、本来開けてはならないのだが…主さまの部屋の障子をそおっと開けた。
「…ふむ。見逃してやりたいが、無理だな」
晴明が見た光景は…
主さまの腕枕ですやすやと眠る息吹と、すやすやと眠っている主さまの姿。
本来部屋に押し入れば問答無用で主さまから殺されるが…晴明は平然とした顔で2人に声をかけた。
「…殺すぞ」
一瞬だけ殺気をこめて呼びかけると、すぐさまその殺気に気付いた主さまが天叢雲を手に息吹を庇いながらがばっと起き上がった。
「…晴明か」
「想いを遂げたとは言え、嫁入り前の娘に何をしているんだ?手を出さぬと約束しただろう?」
「…出してない」
「ほほう、辛抱強くなったものだな。ちなみにあと1年は辛抱してもらうぞ。嫁入り修行をさせるからな」
「あと1年…?冗談だろう?それは…」
「耐えられぬと言うならば、そなたには嫁にはやらぬ。…なんだ、不服そうな顔をしているな」
――真顔の晴明に背筋をぞっとさせた主さまが黙り込むと、話し声で目が覚めた息吹が寝返りを打ち、晴明を見ると勢いよく起き上がった。
「ち、父様!」
「私に隠れて何をしていたのかな?罰として明日1日我が屋敷から出てはならぬ。十六夜、そなたにも我が屋敷を訪れることを禁ずる」
晴明が与えた罰は殊の外重く、息吹は素直に頭を下げた。
「父様…ごめんなさい…」
「わかればいい。で?十六夜、そなたはどうなのだ?」
「…わかった。好きにしろ」
「反省しておらぬようだな。私を敵に回すとどうなるか思い知るがいい」
「!……悪かった」
のっけから晴明にいびられて主さまは肩を落としたが、意気消沈している息吹に明るい声をかけたのは、銀だった。
「息吹、もう夕暮れだぞ、こっちに来い。面白いものが見れるぞ」
「銀さん?うん、ちょっと待って」
髪と着物を整えて居住まいを正すと外に出て…驚くべき光景を目にした。
「…みんな…?」
「息吹!誕生日おめでとう!」
百鬼を超える妖が庭に大集結していた。
「…ふむ。見逃してやりたいが、無理だな」
晴明が見た光景は…
主さまの腕枕ですやすやと眠る息吹と、すやすやと眠っている主さまの姿。
本来部屋に押し入れば問答無用で主さまから殺されるが…晴明は平然とした顔で2人に声をかけた。
「…殺すぞ」
一瞬だけ殺気をこめて呼びかけると、すぐさまその殺気に気付いた主さまが天叢雲を手に息吹を庇いながらがばっと起き上がった。
「…晴明か」
「想いを遂げたとは言え、嫁入り前の娘に何をしているんだ?手を出さぬと約束しただろう?」
「…出してない」
「ほほう、辛抱強くなったものだな。ちなみにあと1年は辛抱してもらうぞ。嫁入り修行をさせるからな」
「あと1年…?冗談だろう?それは…」
「耐えられぬと言うならば、そなたには嫁にはやらぬ。…なんだ、不服そうな顔をしているな」
――真顔の晴明に背筋をぞっとさせた主さまが黙り込むと、話し声で目が覚めた息吹が寝返りを打ち、晴明を見ると勢いよく起き上がった。
「ち、父様!」
「私に隠れて何をしていたのかな?罰として明日1日我が屋敷から出てはならぬ。十六夜、そなたにも我が屋敷を訪れることを禁ずる」
晴明が与えた罰は殊の外重く、息吹は素直に頭を下げた。
「父様…ごめんなさい…」
「わかればいい。で?十六夜、そなたはどうなのだ?」
「…わかった。好きにしろ」
「反省しておらぬようだな。私を敵に回すとどうなるか思い知るがいい」
「!……悪かった」
のっけから晴明にいびられて主さまは肩を落としたが、意気消沈している息吹に明るい声をかけたのは、銀だった。
「息吹、もう夕暮れだぞ、こっちに来い。面白いものが見れるぞ」
「銀さん?うん、ちょっと待って」
髪と着物を整えて居住まいを正すと外に出て…驚くべき光景を目にした。
「…みんな…?」
「息吹!誕生日おめでとう!」
百鬼を超える妖が庭に大集結していた。