主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
赤子が寝てしまってようやく2人きりになれた主さまはどうやって息吹に触れようか悶々と考えていた。
肝心の息吹と言えば日輪草以外の花を集めて花冠を編むことに集中しており、主さまは仕方なく隣でごろりと寝転がると花冠を編む息吹の細い指を見つめていた。
…あの小さかった赤子が十数年後まさかこんなに美しくなるとは。
なかなか人間も侮れない、と思いながら息吹の膝を突き、注意を向けさせた。
「なあに?」
「面白くない」
「え?ちょっと待ってて、これ編んでから…」
「待てない」
「主さ…、きゃっ」
突然主さまから手を引かれて胸に倒れ込んでしまうと、息吹が息を呑み、意識させることに成功した主さまはうるさいほどの蝉の鳴き声を聴きながら息吹の髪紐を解いた。
びくっと首を竦めた息吹は完全に意識していて、予想以上の反応を見せたことによってそれが伝染してしまった主さまは耳が赤くなりながらも息吹の首筋に指を這わせた。
「ちょ…、だ、駄目、主さまっ」
「主さま、じゃない。俺の名はなんだ?」
「え…い、いざ……なんか恥ずかしいっ。やだ!言いたくない!」
――時々真の名を呼んでほしい、と言ってくる主さまの瞳の中にはうっすらと青い炎が揺らめき、息吹はその炎に見惚れながら主さまの頬に指を伸ばした。
「十六夜……さん…」
「……それでいい」
急に猛烈に照れてしまった主さまが背を向けてしまい、ちょっとだけ面白くなってしまった息吹は主さまの背中にぴったりと身体を寄せてさらにがちがちに緊張させた。
「……は、離れろ」
「やだ。せっかく2人きりなのになんで離れなくちゃいけないの?ねえ主さま、こっち見て」
お願いしても振り向いてもらえず、息吹は超緊張しつつも身体を起こして主さまの耳にちゅっと口づけをすると…あっという間に真っ赤になり、腕で顔を隠しながら起き上がった。
「やめろ!俺をからかうな!」
「からかってないもん。もっと主さまに触りたいなー。駄目?もう帰りたい?じゃあ帰ろうか?」
「…別に帰りたいとは言ってない。俺をからかうとどんな目に遭うか知りたいようだな」
「主さ…」
――強引に重なってきた唇は優しくも荒々しく、普段冷静沈着な主さまからは想像できない激しさで息吹を焦がす。
それが本来の主さまなのだと、知った。
肝心の息吹と言えば日輪草以外の花を集めて花冠を編むことに集中しており、主さまは仕方なく隣でごろりと寝転がると花冠を編む息吹の細い指を見つめていた。
…あの小さかった赤子が十数年後まさかこんなに美しくなるとは。
なかなか人間も侮れない、と思いながら息吹の膝を突き、注意を向けさせた。
「なあに?」
「面白くない」
「え?ちょっと待ってて、これ編んでから…」
「待てない」
「主さ…、きゃっ」
突然主さまから手を引かれて胸に倒れ込んでしまうと、息吹が息を呑み、意識させることに成功した主さまはうるさいほどの蝉の鳴き声を聴きながら息吹の髪紐を解いた。
びくっと首を竦めた息吹は完全に意識していて、予想以上の反応を見せたことによってそれが伝染してしまった主さまは耳が赤くなりながらも息吹の首筋に指を這わせた。
「ちょ…、だ、駄目、主さまっ」
「主さま、じゃない。俺の名はなんだ?」
「え…い、いざ……なんか恥ずかしいっ。やだ!言いたくない!」
――時々真の名を呼んでほしい、と言ってくる主さまの瞳の中にはうっすらと青い炎が揺らめき、息吹はその炎に見惚れながら主さまの頬に指を伸ばした。
「十六夜……さん…」
「……それでいい」
急に猛烈に照れてしまった主さまが背を向けてしまい、ちょっとだけ面白くなってしまった息吹は主さまの背中にぴったりと身体を寄せてさらにがちがちに緊張させた。
「……は、離れろ」
「やだ。せっかく2人きりなのになんで離れなくちゃいけないの?ねえ主さま、こっち見て」
お願いしても振り向いてもらえず、息吹は超緊張しつつも身体を起こして主さまの耳にちゅっと口づけをすると…あっという間に真っ赤になり、腕で顔を隠しながら起き上がった。
「やめろ!俺をからかうな!」
「からかってないもん。もっと主さまに触りたいなー。駄目?もう帰りたい?じゃあ帰ろうか?」
「…別に帰りたいとは言ってない。俺をからかうとどんな目に遭うか知りたいようだな」
「主さ…」
――強引に重なってきた唇は優しくも荒々しく、普段冷静沈着な主さまからは想像できない激しさで息吹を焦がす。
それが本来の主さまなのだと、知った。