祝福された堕天使達
懐かしい夢を見た。

それはほろ苦い青春の一幕で餓鬼だった俺が堕ちていくきっかけになった日の出来事だ。

「悲しい顔してるね。」

「そうかな?」

「うん、とっても悲しい顔してる。」

食卓の向かい側に座る麻里は俺の顔を見るなりそう聞いてきた。

俺はその表情を隠すかの様に目前の塩鮭に箸を伸ばしご飯を煽る。

「嫌な事、何かあったんだね。」

麻里は確信を持ったかの様に更に聞いてきた。

「まー君、隠し事があると行動に出るよね。」

そう言って、麻里はご飯を煽る真似をした。

その姿に隠し事は出来ないな、と感じ茶碗を静かに置き夢の事を話した。

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