祝福された堕天使達
見渡す限りの田んぼと山に囲まれ、主な交通手段になる国道もその田んぼと山に挟まれる形で一つあるだけ。

俺達の降りた駅も無人駅で周りに人はいない。

非常に静かな場所だった。

時折通る車のエンジン音が静かな空間に音を入れる。

歩き慣れない雪の中を俺達はゆっくりと歩いた。
たまに麻里が足を踏み外しそうになって支えたりもしていた。

それはまるで…

「まるであの頃の渡辺さんの心境みたいだね。」

不意に麻里がそう言って振り向いた。

「そうだな…」

そう、まるであいつの…俺達を歓迎していない様な心境を具現化したかのような深い雪。
静かに、しかししたたかに降り積もる雪路を俺達はまたゆっくりと進んで行った。

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