祝福された堕天使達
今日、俺達はあいつの墓参りをしようと決めていた。

石塚が自分達の家に訪れたあの日から、俺達も墓参りに行かなければならない様な気がしていたからだ。

仕事の折り合いが中々つかずに間が空いてしまったが、結婚を来月に控えていた俺達はその日までに一度くらいは会っておこうと、有給まで使ってこの地を訪れた。

場所は事前に石塚に聞いていた為、いくつもある墓の中を少し迷いながらも見つける事が出来た。

ごくありふれた墓だったが、ここにあいつが要るんだなと思うと少し存在感を感じる。

人の死による存在の失効。

その存在を代理で担っているその墓石は、雪を被りながらも独特の存在感を醸し出していた。

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