祝福された堕天使達
麻里は丁寧に墓の雪を払い、ゆっくりと水をかけた。

冷えきった空気にすっかり枯れてしまった花を新しく取り替え、来る途中で買った線香を焚いた。

「本当なら、ここには来なかったかも知れないよね。」

麻里が感慨深げにそう言う。

「おれは、いつかは来ると思っていたけどな。」

俺はそう返した。

「それって、私達が当時友人同士だったから?」

「それもある、それもあるけど…」

「あるけど?」

「謝りたい…のかもな。」

俺は静かにそう答えた。

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