祝福された堕天使達
布団の中なのにとても肌寒い。

微睡みの中ふと起き、違和感を感じた。

もしくは違和感を感じて起きたのだろうか、珍しい事にまだ真夜中の4時だと言うのに目が覚めた。

「麻里?」

俺はその違和感に手を滑らせる。

そこには何一つも感触が無かった。

普段そこにある物が足りない。それ以上の例えがない。

そこに麻里はいなかった。

「トイレか?」

と、呟いては見るものの何だか様子がおかしい。

部屋全体に人の気配を感じない。

少しづつ、だがふつふつと嫌な予感が過ぎる。

数少ない部屋を片っ端から開け放つ、しかしそこにやはりどの部屋を見ても誰一人いない。

「麻…里?」

最後の部屋も人影すら見えなかった。

嫌な予感は、的中してしまった。

「麻里!?」

俺は慌てて外へ飛び出した。

玄関に一人分の靴が無かった。

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