祝福された堕天使達
いや、一度だけあったか…


-他に好きな子が出来たら、私を捨てて…-


同棲を始めて間もない頃、バイト先で倒れた俺の事を思い彼女は自分で稼ごうと、そして俺からの関心を他に移すように図ろうとしたのか、よりにもよって水商売に走った事があったのを不意に思い出した。

あの頃の麻里は少しばかり病んでいた。

責任と言う二文字の名の元に、元教師としての罪悪感は計り知れない物だったのだろう。

でも、それこそ俺に対する曖昧な気持ちだったに違いない。

俺の事を愛してくれてはいないのか…俺は麻里にそう問いただし、麻里は違うとはっきり言っていた。

今でもその気持ちは変わらないと信じている。

愛してくれているならどうして曖昧な気持ちのままなのか…俺にはよく解らなかった。

< 71 / 100 >

この作品をシェア

pagetop