祝福された堕天使達
麻里は複雑な顔を浮かべた。

確かに俺の言うことも無理矢理な気がする。

夢は見ようと思って見れるものじゃない。

麻里が見た夢も、偶然の産物のようにしか思えなかった。

だが麻里は、そんな俺の考えとは違う事を思っていたようだ。

「私は、渡辺さんが私達の事を許してくれたんだって信じたいな。」

そう言って、麻里は今にもまた降りだしそうな鈍色の空を見上げ、手をあげ空を仰ぎ口を開いた。

「だって、雪は止んだもの。」

空を仰いでいた手を下ろし、ゆっくりを視線を下ろし、麻里は俺に視線を向けた。

「渡辺さんはあの遠い空で私達を祝福してくれてるよ。きっと…」

「そうかもな…」

俺はそう返した。

麻里の言う通りかもしれない。

そう考えた方が俺達がここまで進んできた甲斐があったと強く感じられるからだ。

< 79 / 100 >

この作品をシェア

pagetop