祝福された堕天使達
「麻里…」

私は名前を呼ばれ、立ち止まった。

昔は嫌と言うほど聞いていた声だけど、今では中々聞けなくなった懐かしい声。

私は声をした方に視線を向けた。

そこにいたのは私の唯一人の家族だった。

「お父さん。」

「麻里、綺麗だよ。」

「そ、そうかな。」

「うん、雅人君もきっと喜んでくれるよ。」

お父さんはそう言って、私のすぐ近くまで近づいた。

私の肩に手を当てて、優しい微笑みを見せた。

「今まで、よく頑張ったな。」

「頑張った?」

言われて私は疑問符を浮かべた。

お父さんは言った。

「今、雅人君と話をしていたんだ。雅人君は色々と話してくれたよ。そして見直した。雅人君はずっと麻里の事に真剣で麻里を今まで守ってきていたんだって、話していてよく分かった。」

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