祝福された堕天使達
差し出されたハンカチを受け取り、涙を拭った。

懐かしい。

子供の頃、確かにお父さんはハンカチをよく差し出してくれた。

それも私が泣いている時はいつも…

そんな優しさから、私は離れ、嫁いでいくのだなと、そう思うと何だか申し訳ない気持ちになった。

こんな親不孝者にも、優しくしてくれる事にまた涙が出そうだった。

「私って、成長しないな。」

ふとそんな事を言ってみる。

「別に成長しなくても良い、そんな所がお前らしいんだから。」

「それ、どう言う意味?」

そんなお父さんの冗談に少し膨れっ面で言い返す。

お父さんは笑っていた。

「お父さん。」

私はそんなお父さんにハンカチを返し、差し出された手を私は包む様に手を当てた。

そして…

「ありがとう。」

娘として、親不孝者として、色々な意味を込めて私はお父さんにそう告げた。
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