愛しい人へ
「1つだけでは済まされない位色んな思い出があったよ。お母さんと結婚できて。お前を授かって。会社もお互いに上手くいってたしな。お前の友達の家族みたいに沢山一緒にいる事は出来なかったけど。それでも自分の【家族】っというかけがえのない存在がお父さんを支えていたのかもしれんな。こんな幸せでいいのかと怖くなった時もあった程だ。」
少し垂れ下がった目で夕日を浴びながら1つずつ思い出しているように語るお父さんの目からは涙で溢れていた。
「そっかあ。」
それ以上言葉が出て来なかった。
というより見つからなかった。