素直なキミに
「の…?」











「…」











「…?どうした?気分悪いのか?」











「なっなんでもない…」











「うん…で名前は?」














「…ない?」








「え?聞こえな…」

「幻滅しない」


「あたしの名前聞いても幻滅しない?誓える?」



あたし声でかっ!

何焦ってんだあたし!

そうだ!!
異性と付き合うのが初めてだから…!

だから緊張してるだけ!うん。そうだ!!そうだ!!

好きとかそんなんじゃないんだ!!














「幻滅…?」














スッ…チュッ…




いきなり手を取られ、
甲にキスされた。













手から火が出るかと思った。












「なっ…何すっ…」








「幻滅なんてするわけないだろ」












「え?」













「こんなに愛しい人の名前聞いて幻滅なんてするわけない」











まっすぐあたしを見つめる目。

偽りのないまっすぐさにあたしは捕らわれた。








嘘じゃない…
嘘じゃないって


わかる。



どれだけあたしを愛してくれているか。












そして

もうひとつ
わかった事がある。













あたしは

コイツに

嫌われたくなかったんだ…










本気でコイツの事が好きなんだ…
















あたしは
そっと目をそらした。





自分の全身から
コイツに向かって'スキ'が溢れていることが

バレてしまいそうなくらい顔が火照っていたから。






でも
手はしびれて少しも動かなかった。












このまま
時間が止まってしまえばいい





心からそう思った。









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