素直なキミに
しばらくして

「おい…着いたぞ」








「えっ…あぁ…ありがと」


「で、名前は?」











「のっ…のののののののっ野里…つぅっばさ!」














「いいじゃん」













「え?」













「いい名前してんじゃん!どこが幻滅なんだよ~」




「だっ…つばさだよ!?男じゃないんだから…」




「お前に超似合ってるよ。凛々しくて綺麗な顔に」





スッ…






頬を撫でられた。







ドキンッ

胸が飛び跳ねた。

思わず目を閉じる







「それ…誘ってんの?」














「え?」













次の瞬間…




コイツの唇があたしの唇に重なった。





「ん…」








初めてのキス。









ゆでダコになりそうだった。








「つばさ…好きだよ。誰よりも。」











「なぁっ…」


あたし、なんて答えればいいのー?!(泣)


ここであたしも!!なんて
素直になれるのが一番いいけど…


仕方ないよ…

これは仕事。

コイツと付き合うのは仕事の1つ。



好きだなんていっちゃダメ。
あたしのイメージダウン。
素直に…
なっちゃだめ…。





「つばさは?俺の事好き?」






あたしは目をそらした。



「ほ…保留っ」
これがあたしの答え。





「俺の目を見て答えて?」




「…」










「まだ保留か…じゃあ、好きになってもらえるように頑張るよ」






「ま!!せいぜい頑張りなさい!」

あたしの渾身の一言。
涙が出そうだった。






「じゃあ、とにかくさ…俺の事名前で呼んで?」











「は…は?!」








「いいから」








「やよ!」










「じゃあ車から出してやんない」










「わかったわよ…優っ貴ぃ…」










「かわいーやっぱつばさは可愛いなぁ…」








「じゃあ、バイバイ」









「じゃあな!」













呼んじゃった…

人生初

男を呼び捨てにするの…


あんたにはドキドキさせられてばっか…



こんなんじゃ

心臓がいくつあっても

足りないわ








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