絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
「良かった! 1個にぎりぎり乗せましょう!」
さて、そこから商品を集めにはいる。
「あ、矢伊豆副店長。私、あとで鍵閉めておきましょうか?」
「いや、いいよ。2人で探した方が早いし、こんなところに女の子1人置いていけんだろう」
「そうですか?」
「そーだ。まずはミシンか……というか、乗らないぞ。1回で」
「2回くらい往復したら大丈夫ですかね」
「とりあえず、入口の前に集めよう」
矢伊豆の力のおかげで、15分ほど探すとすぐに全商品集まった。
「さて、と。香月はここで待ってろ。俺が1回これ置いてきて、台車とってくるから」
「……はい」
別に私が濡れればいいのにと思ったが、矢伊豆はどうやら男堅気な人らしい。自らが濡れて向こう岸に渡るという精神なのだ。というか、着替えくらい持ってきてるのかもしれない。
軒下で香月は手持ち無沙汰に思考を巡らせた。矢伊豆は忙しいだろうから、誰か倉庫の他の人が台車持ってくるのかもしれない。
外は静かだ。雨の音と風の音しかしない。こんな何気ない風景、写真を撮るのが好きなユーリなら撮りたいと思うんじゃないだろうか。
ミャー、ミャー。
今まで全く気づかなかったが。近くで猫の声がしていることに気づいた。
多分、子猫……。
そう思ったら、こんな豪雨の中で…といてもたってもいられなかった。
とりあえずは屋根があるところから目をこらしてよく周囲を見る。耳を澄ます。
「……いた」
20メートルくらい離れた木の根元に、ダンボールの箱が見えた。その中で多分鳴いている。
視界が悪くてその中でどんな風に何匹いるのかまでは分からないが、もうここまで濡れれば同じこと。
そう思って、軒下から出た。ダンボール目掛けてダッシュする。
息をつきながら中を覗くと、大きなダンボールの中には2匹の子犬が入っていた。とにかく、それを持ち上げて、倉庫の屋根の下に持って帰ろうとする。しかし、箱を持ち上げてから初めて、底がないことに気づいた。下は新聞紙を敷いているだけなのである。
しかし、すぐその先にダンボールが置いてあることを思い出し、走って箱だけ取り、犬を2匹を丁寧に入れると戻った。矢伊豆はまだ来ていない。
しかし、相当濡れた。前髪など、風呂でも入ったかのようにしずくがたれ落ち、ドライヤーで髪を乾かさなければもう上には上がれない。
さて、そこから商品を集めにはいる。
「あ、矢伊豆副店長。私、あとで鍵閉めておきましょうか?」
「いや、いいよ。2人で探した方が早いし、こんなところに女の子1人置いていけんだろう」
「そうですか?」
「そーだ。まずはミシンか……というか、乗らないぞ。1回で」
「2回くらい往復したら大丈夫ですかね」
「とりあえず、入口の前に集めよう」
矢伊豆の力のおかげで、15分ほど探すとすぐに全商品集まった。
「さて、と。香月はここで待ってろ。俺が1回これ置いてきて、台車とってくるから」
「……はい」
別に私が濡れればいいのにと思ったが、矢伊豆はどうやら男堅気な人らしい。自らが濡れて向こう岸に渡るという精神なのだ。というか、着替えくらい持ってきてるのかもしれない。
軒下で香月は手持ち無沙汰に思考を巡らせた。矢伊豆は忙しいだろうから、誰か倉庫の他の人が台車持ってくるのかもしれない。
外は静かだ。雨の音と風の音しかしない。こんな何気ない風景、写真を撮るのが好きなユーリなら撮りたいと思うんじゃないだろうか。
ミャー、ミャー。
今まで全く気づかなかったが。近くで猫の声がしていることに気づいた。
多分、子猫……。
そう思ったら、こんな豪雨の中で…といてもたってもいられなかった。
とりあえずは屋根があるところから目をこらしてよく周囲を見る。耳を澄ます。
「……いた」
20メートルくらい離れた木の根元に、ダンボールの箱が見えた。その中で多分鳴いている。
視界が悪くてその中でどんな風に何匹いるのかまでは分からないが、もうここまで濡れれば同じこと。
そう思って、軒下から出た。ダンボール目掛けてダッシュする。
息をつきながら中を覗くと、大きなダンボールの中には2匹の子犬が入っていた。とにかく、それを持ち上げて、倉庫の屋根の下に持って帰ろうとする。しかし、箱を持ち上げてから初めて、底がないことに気づいた。下は新聞紙を敷いているだけなのである。
しかし、すぐその先にダンボールが置いてあることを思い出し、走って箱だけ取り、犬を2匹を丁寧に入れると戻った。矢伊豆はまだ来ていない。
しかし、相当濡れた。前髪など、風呂でも入ったかのようにしずくがたれ落ち、ドライヤーで髪を乾かさなければもう上には上がれない。