絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 
 西野は笑いながらも、
「じゃあ綺麗なオネェちゃんでいっぱいなわけだ」
「そうでもないよ」
 吉原のそっけない返答に、すかさず玉越が
「吉原の好みってどんな感じ?」
 意味もなく西野は手のひらを吉原に見せ、
「待て。お前は美人好きだ」
「誰しも同じじゃない?」
 この発言に玉越は激怒。
「外見がいいからって何よねー! 中身で勝負よ、中身」
「例えば、この店内でいえばどんな子? 待て。うーん。意外に永作?」
「もうちょい大人め」
 本人を目の前にしての大胆な意見にさすがの玉越も笑い、
「永作は多分制服着たら18才だよねー」
「……それは無理じゃない?」
 西野は笑うが、
「今度制服着てみます」
と永作本人が真面目に言うので
「そっか持ってるんだ」
と香月は納得した。
「え! 持ってるの!?」
 西野と玉越は同時に発言する。
「似たようなのは見たことある。すごく可愛かったよ」
 永作が甘ロリを愛していることはたいていの女性陣の間では周知済みだ。
「あぁそっか、そうだったね……。うん、似合う似合う」
 玉越も思い出して、同意する。
「……今度皆で飯行こう」
「当日?」
「……永作、是非その……制服とやらを着てきてくれ」
 西野の誘いに永作は多少照れながら
「はい」
 と顔を赤らめて丁寧に頷いた。
「はー……なるほど……そんな趣味があったとは……」
「目立つけどね(笑)、だから西野はそれに合う格好をしてきなさいよ」
「……どんな?」
「し、執事?」
 玉越は考えながら問う。
「ではなくて、王子様の方が……」
「おうじさま!?」
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