絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 
「約束は約束だし……。どんなところがいいかなぁ」
「和食やろ? 和食好きやし。どんな所があるかなぁ……最近流行りゆーたら」
「流行ってて混んでるのも嫌ですよねー」
「けど空いててまずいのもどう?」
「ヤですけどぉ……」
「あれよ、店だけ指定したら、VIP席か、閉店後か予約してくれるんちゃう?」
「えー……予約させるの?」
「まあ、有名人やからね。マクドのカウンターでってわけにもいかんでしょう」
「極端だよ(笑)。でも、逆にマクドならバレないね」
「そ? 俺何回かバレたことあるけどなあ」
「それは自分のブログで紹介してるからじゃん!!」
「まあ……(笑)」
「まあいっか。……マクドでも」
「……せめてモスにしたら? ファーストフードの高級店」
「(笑)、どっちでもいー(笑)」
「結構違う思うけどなぁ」
「そんなの言ったら怒りそうじゃない? いや、不気味に笑いながら、承諾して、内心「誕生日の俺にハンバーグァー食べさせる気かぁ」って」
「ハンバーグァーくらい食べるよ、あの人も(笑)」
「いや、でも、誕生日にハンバーガーってがっかりだよ、私なら」
「まあ年に1回のことやからねぇ」
「……3人で行こうか?」
「1抜けた」
「何でー!!」
「俺用事あるし」
「ないない」
「ええやん、2人で行ったら。なんか奇跡が起こるかもよ?」
「マグロが寒天だったり?」
「それさっきのテレビやん(笑)しかも、マグロが寒天だったらレイはブチキレるよ(笑)」
「あれすごかったよねー。見た目マグロなのに、実は寒天で作ってあるなんて」
「いや、その話はおいといて」
「確かに、マグロが寒天だったら私でもキレるかな」
「分からんと食べてんちゃう? あら美味しいマグロねーって(笑)」
「だとしたら、ユーリさんも同じですよ。あら美味しいマグロやねーって」
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