絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
「あ、見た目の話です」
「微妙だなぁ」
「こうなんか、斜めにうまく切ったらそれっぽく見えてましたよ」
「それはゼリーで和食を作るとかいう……お菓子で懐石を作るとかあるじゃん。あれ?」
「いやー。なんかそれは単なる主婦の趣味でしたけど」
「とんだ趣味だね……」
「確かに、食卓にそれが並んだら嫌ですよね(笑)。でも、ユーリさんが、「明日食事に行って、マグロの寒天が出たらレイはブチキレるよ」って言ってました」
「まあ……。こんな刺身みたいに出て来てね、刺身だと思って食べてるのに、食べたらトマトジュースなんてのはまあ、とりあえず誰か殴るかな」
「何で殴るんですか(笑)」
どれもこれも彩もいいし味も良い。これは成功かな。レイジもまあ、美味しそうに食べているし。
「うわー、これ辛い!!」
香月は小さな小鉢を置いてすぐに、口を押えた。
「これ? 美味しいよ」
「えー。辛いー」
「美味しくない?」
「美味しくない」
「じゃあ頂戴」
「はい、どうぞ」
小鉢を渡すときに手が触れたが、そんなことで驚いたり、トキめいたりするような関係ではない。
「……なんで笑うんですか?」
「いや(笑)。可愛いなあと思って」
レイジは小鉢をつつきながら、いつものようにまるで「天気が雨だなあと思って」と言っているかのように、淡々と放った。
おそらく、大した意味はないに違いない。
「ちなみに、どんな人が好みなの?」
「……うーん……」
香月は腕組をして宙を仰いだ。
「どんな人……」
「例えば、職業とか……」
「職業……」
ただ繰り返す。
「歌手、とか、俳優とか」
「芸能人は煌びやかすぎて。常に忙しそうですよねえ」
「……まぁね」
レイジは器用に魚をむしりながらも、きちんと会話を進めてくれる。
「医者……かなぁ」
「医者……何で?」
「……そうでもないかな。でも、電気屋さんではないかなー。うーん。別に職種には拘らない」
「全然答えになってない」
というか、どんな質問だったか…と考える。
「微妙だなぁ」
「こうなんか、斜めにうまく切ったらそれっぽく見えてましたよ」
「それはゼリーで和食を作るとかいう……お菓子で懐石を作るとかあるじゃん。あれ?」
「いやー。なんかそれは単なる主婦の趣味でしたけど」
「とんだ趣味だね……」
「確かに、食卓にそれが並んだら嫌ですよね(笑)。でも、ユーリさんが、「明日食事に行って、マグロの寒天が出たらレイはブチキレるよ」って言ってました」
「まあ……。こんな刺身みたいに出て来てね、刺身だと思って食べてるのに、食べたらトマトジュースなんてのはまあ、とりあえず誰か殴るかな」
「何で殴るんですか(笑)」
どれもこれも彩もいいし味も良い。これは成功かな。レイジもまあ、美味しそうに食べているし。
「うわー、これ辛い!!」
香月は小さな小鉢を置いてすぐに、口を押えた。
「これ? 美味しいよ」
「えー。辛いー」
「美味しくない?」
「美味しくない」
「じゃあ頂戴」
「はい、どうぞ」
小鉢を渡すときに手が触れたが、そんなことで驚いたり、トキめいたりするような関係ではない。
「……なんで笑うんですか?」
「いや(笑)。可愛いなあと思って」
レイジは小鉢をつつきながら、いつものようにまるで「天気が雨だなあと思って」と言っているかのように、淡々と放った。
おそらく、大した意味はないに違いない。
「ちなみに、どんな人が好みなの?」
「……うーん……」
香月は腕組をして宙を仰いだ。
「どんな人……」
「例えば、職業とか……」
「職業……」
ただ繰り返す。
「歌手、とか、俳優とか」
「芸能人は煌びやかすぎて。常に忙しそうですよねえ」
「……まぁね」
レイジは器用に魚をむしりながらも、きちんと会話を進めてくれる。
「医者……かなぁ」
「医者……何で?」
「……そうでもないかな。でも、電気屋さんではないかなー。うーん。別に職種には拘らない」
「全然答えになってない」
というか、どんな質問だったか…と考える。