絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 
 ユーリは瓶を下げる。
「1杯でいいよ」
「まだまだお子ちゃまやなあ、酒の味が分からんとは」
「まだまだ若いですからね♪」
「そやなぁ。俺からしたら、10……違うんか」
「11」
「まあ、似たような世代やね」
「全然違うよー。一回り違う。よっし、じゃあ、ここまできたら!! ユーリさんの恋愛話でもしましょうか!!」
「まだ俺全然酔うてへんで(笑)」
「じゃあ、まずは軽く……」
「おし、なんでも来い!!」
「今、彼女いませんよね?」
「最初から予想してくるなぁ(笑)。しかも……ドンピシャ!!」
「ですよねー。なんか、そんな感じがしない」
「というか、お互い様やろ??」
「私は……。別に今は一人でのんびりしたいんです」
「俺かて同じよ」
「じゃあ遊んではいるの?」
「いや、それほど。だから、遊んだってええことないんよ」
「……まあ、そうですねー」
「愛ちゃんはどうすんの?」
「何がです?」
 あえて、知らないふり。
「レイのこと」
「お断りしてますよ。とっくに」
「え゛、そうなん?」
「いたじゃないですか。あの時一緒に。話聞いてたでしょう?」
「あぁ、あの時のね。別に断ってへんやん(笑)。保留って感じで。でも、レイをそこまで拒んだんなかなかおらへんで。多分」
「レイジさんは今私が拒んでるのが楽しいだけなんですってば」
「違うと思うけどなぁ……」
「私が拒むことによって、気持ちが強くなるのは確かでしょ?」
「まあ、多少はあるかもしれへんけど……」
「強引に……キスとかされるのは、嫌じゃないけど……」
「そんな趣味があったとは」
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