絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 
「どんな趣味ですか(笑)。だけど、普段は何考えてるか分からないから怖いけど、その……強引なときは怖くない」
「強引が好きなんよ(笑)」
「……そうでもないと思うんだけどなぁ……」
「で、強引にキスされて嬉しいのに、好きって言われると拒むんや」
「うーん……でも、それに近い」
「遊んでんの?」
「違う」
「けどそれに近いよなぁ……」
「うーん。何かな。キスしても、それ以上はしないという確信がある」
「そんなんわからへんやん」
「なんとなくそう思う」
「キスだけがしたいん?」
「それも違うけどなぁ……」
「……よう分からん」
「私も」
「けど、レイ傷つけてるよ、それ、確実に」
「自分で傷ついてるんだよ」
「なんでー?」
「だってさ、私からキスしてって頼んでるわけじゃないんだから。別にキスしなければいい」
「じゃあ拒否すればいいじゃん」
「だから強引なんだってば」
「そんな、思い切り殴ったら大丈夫よ。こっちから殴っても殴り返しはせんから。女の子には手出さへんよ?」
「……そうなんだよねえ」
「やっぱちょっとキスされたいんやん」
「だねー……。まあいいよ。多分そのうち忘れるから」
「なら、忘れさせたり」
「どうやって?」
 香月はまじまじとユーリを見つめた。
「どうやってって。まあ、とにかく、キスは拒否する」
「殴ることにしよう」
「その方がいいと思うけどなぁ。それで燃え上がったら分からんけど」
「いやー(笑)。キスさせてー、で殴られて、もっと殴ってーって?(笑)」
「これ聞いたら絶対怒るわ(笑)」
「まあ、1回殴ってみないと分からないけどね」
「女の子に殴られたことなんか……多分それほどまあ、ないこともないけど。喜んではなかったかなぁ」
「……けど、レイジさんって誰とでもキスするでしょ?」
「せーへんよ、酔ってるとき以外は」
「それってあんまりなくない」
「そんなことないよ(笑)、……まあ、そんなこともあるか(笑)」
「……」
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