絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
「みなさんあんまり自宅にはいないんですよね……なんか忙しそうなイメージがあるけど」
香月はユーリに聞いた。
「うーんその時によるね。忙しくなったら帰ってこうへんけど……でもそれもツアーとか……普通のときは家帰ってくるよ」
「私の想像だと、多分、私1人暮らしって感じなのかなあって気がするんですけど……」
「まあ、レイは忙しい人やからね。こうやって言いながらも、あんまり帰ってこーへんと思う。事務所とかにも仮眠する所はあるし。けど俺はいてるよ。引きこもりが好きやし」
「良かった」
香月は胸を撫で下ろす。
「何で?」
ユーリは不思議そうに笑った。
「こんな知らないところで1人暮らしもちょっと怖いなあと思ったんで」
「あぁ、まあそおやねー。ユーリ兄さんになぁんでも任せなさぁい! なんちゃって」
「料理も上手だし、期待大ですね」
「1人だと面倒臭くって作らんけど、2人だとそうでもないやろうし」
「私も料理はできますよ」
「それは頼もしい」
レイジはそこでようやく輪に入ろうと思ったのか、話題を変えた。
「僕のことはあんまり気にしないでね。同じ部屋にいても空気だと思ってくれていいから」
「だそーです」
ユーリはにこやかに、笑いかけてくれるが、
「……はい」
この威圧感にちょっと黙ってしまう。
沈んだ香月に反して、レイジはすらすらと続けた。
「この人と住んでも大丈夫って思った僕の勘は絶対に正しい自信があるから。
それに、今はただの同居人でいいし。よかったら、好きになってくれてもいいし」
レイジは一番肝心なことをさらっと言ってのけた。
「今日は泊まって行く?」
意外に言い出したのはユーリ。
「でも、何も持ってきてないし……」
「そっか……けどまあ、何回か泊まってから考えてもええかなあとは思うよ。それでないと契約もできんやろうし」
だが香月は、今、既に固まっている決意を口にした。
香月はユーリに聞いた。
「うーんその時によるね。忙しくなったら帰ってこうへんけど……でもそれもツアーとか……普通のときは家帰ってくるよ」
「私の想像だと、多分、私1人暮らしって感じなのかなあって気がするんですけど……」
「まあ、レイは忙しい人やからね。こうやって言いながらも、あんまり帰ってこーへんと思う。事務所とかにも仮眠する所はあるし。けど俺はいてるよ。引きこもりが好きやし」
「良かった」
香月は胸を撫で下ろす。
「何で?」
ユーリは不思議そうに笑った。
「こんな知らないところで1人暮らしもちょっと怖いなあと思ったんで」
「あぁ、まあそおやねー。ユーリ兄さんになぁんでも任せなさぁい! なんちゃって」
「料理も上手だし、期待大ですね」
「1人だと面倒臭くって作らんけど、2人だとそうでもないやろうし」
「私も料理はできますよ」
「それは頼もしい」
レイジはそこでようやく輪に入ろうと思ったのか、話題を変えた。
「僕のことはあんまり気にしないでね。同じ部屋にいても空気だと思ってくれていいから」
「だそーです」
ユーリはにこやかに、笑いかけてくれるが、
「……はい」
この威圧感にちょっと黙ってしまう。
沈んだ香月に反して、レイジはすらすらと続けた。
「この人と住んでも大丈夫って思った僕の勘は絶対に正しい自信があるから。
それに、今はただの同居人でいいし。よかったら、好きになってくれてもいいし」
レイジは一番肝心なことをさらっと言ってのけた。
「今日は泊まって行く?」
意外に言い出したのはユーリ。
「でも、何も持ってきてないし……」
「そっか……けどまあ、何回か泊まってから考えてもええかなあとは思うよ。それでないと契約もできんやろうし」
だが香月は、今、既に固まっている決意を口にした。