絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
「店から車までは誰かと一緒に行く。マンションは……エントランスに車を停めて、ロビーの管理人に駐車場に持って行ってもらう」
「……そんなこと……できるのかな……」
「できるよ。俺のマンションでもできるんだから。東京マンションならできるはずだ。だけどそれくらい対策をした方がいい。でも一番いいのは、誰かに向かえに来てもらったり、送ってもらうのがいいだろう」
レイジのことを聞き出そうとつい本音を混ぜてしまう。
「……いえ。自分で……来ます」
「家は? まあ3人暮らしなら大丈夫か……」
「いえ……今は、男2人が仕事でしばらくいないので……」
「ここがバレているということは、家も分かっている可能性もある。近いしな。用心に越したことはない」
香月は微動だにせず、会話も質問に対して返事をするのでやっとのようだった。
「……明日……警察に行っても、でも、何も変わるわけじゃないですよね……」
「その精子で鑑定ができるだろうが、時間はかかるだろうし。第1登録されている人のでないと分からないからな」
「……」
香月は表情を暗くさせたまま、完全に俯いてしまっている。
「でも、もし、本当に香月を拉致するつもりがあったんなら、その祭りすぎてからも自転車で通ってたところを狙っただろう。そこから考えると、相手も仕事を持っている普通の人なのかもしれない。フリーターみたいに毎日暇だったら次の日か遅くともこんなに待つ必要はないしな」
「……あぁ、そうですね……」
「……シフト、組みなおそうか?」
そんなつもりはそれほどなかったのだが、彼女が固まったまままったく動かないので、何か救いの手を出すことが必要だと感じた。
「いえ、そんな……構いません。多分、車で通って……夜出歩かないようにすれば……大丈夫だと思います……」
ようやくこちらを見た。
「……まあ、シフトのことも考えておくよ。とりあえず明日は警察に行こう。これは……荷物は俺が持って行こうか?」
「……はい」
「大丈夫か? 顔色が悪い。今日はもう帰るか?」
「いえ……逆に……多分、お店にいた方が人がいっぱいで……落ち着くと思います」
なるほど。
「そうか? ……でも今日は……何時まで?」
「10時です」
「8時で帰るか?7時でも6時でもいい」
「いえ、仕事は仕事ですから、ちゃんとします」
まっすぐとこちらを捉えてくれたので、少し安心する。
「……そんなこと……できるのかな……」
「できるよ。俺のマンションでもできるんだから。東京マンションならできるはずだ。だけどそれくらい対策をした方がいい。でも一番いいのは、誰かに向かえに来てもらったり、送ってもらうのがいいだろう」
レイジのことを聞き出そうとつい本音を混ぜてしまう。
「……いえ。自分で……来ます」
「家は? まあ3人暮らしなら大丈夫か……」
「いえ……今は、男2人が仕事でしばらくいないので……」
「ここがバレているということは、家も分かっている可能性もある。近いしな。用心に越したことはない」
香月は微動だにせず、会話も質問に対して返事をするのでやっとのようだった。
「……明日……警察に行っても、でも、何も変わるわけじゃないですよね……」
「その精子で鑑定ができるだろうが、時間はかかるだろうし。第1登録されている人のでないと分からないからな」
「……」
香月は表情を暗くさせたまま、完全に俯いてしまっている。
「でも、もし、本当に香月を拉致するつもりがあったんなら、その祭りすぎてからも自転車で通ってたところを狙っただろう。そこから考えると、相手も仕事を持っている普通の人なのかもしれない。フリーターみたいに毎日暇だったら次の日か遅くともこんなに待つ必要はないしな」
「……あぁ、そうですね……」
「……シフト、組みなおそうか?」
そんなつもりはそれほどなかったのだが、彼女が固まったまままったく動かないので、何か救いの手を出すことが必要だと感じた。
「いえ、そんな……構いません。多分、車で通って……夜出歩かないようにすれば……大丈夫だと思います……」
ようやくこちらを見た。
「……まあ、シフトのことも考えておくよ。とりあえず明日は警察に行こう。これは……荷物は俺が持って行こうか?」
「……はい」
「大丈夫か? 顔色が悪い。今日はもう帰るか?」
「いえ……逆に……多分、お店にいた方が人がいっぱいで……落ち着くと思います」
なるほど。
「そうか? ……でも今日は……何時まで?」
「10時です」
「8時で帰るか?7時でも6時でもいい」
「いえ、仕事は仕事ですから、ちゃんとします」
まっすぐとこちらを捉えてくれたので、少し安心する。