絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
永作は素直に目を時めかせた。
「えー!?!? ままま、待って待って!! そんな……それだったら、いっそのこと、デート誘おうよ!!」
「うんうん、皆でカラオケとか行く時に誘いましょうよ!!」
「うーん……それはまだ早いかな……」
「早いの意味が分かりませんよ(笑)」
佐伯は素早く突っ込む。
「もっと、お店で、倉庫でどんなことをしているのか、どんな風なのか知りたいかな」
「あぁ、そっか、確かにねぇ……」
「じゃあ、とりあえず、次の休みの日は、倉庫、と……」
佐伯はさっそく段取りを立てる。
「どうする、本当に倉庫来る?」
「香月さんが出社で私が休みの日に、お店に仕事をしに来たフリをして倉庫に行っても不自然じゃないでしょうか?」
「まあ……不自然じゃないことはないけど。あ、お菓子持ってきました作戦にする? 私が宣伝しておくから、今日永作さんが美味しいお菓子を持ってきてくれる約束になってるんですよーって。そしたら飛びつくよ」
「手づくりがいいんじゃないですか?」
佐伯の表情は真剣だ。
「手づくりなら……アップルパイでもいいかな?」
永作は控えめに強調する。
「全然オッケイ!!!」
佐伯は親指を立ててウィンクをした。
「……」
永作は真剣な表情をして少し視線をずらした。アップルパイを作る算段をしているのだろうか。
トランシーバーのイヤホンから声が聞こえているので、多分そちらに集中しているのだとは思うが。まさか、永作だけイヤホンから会話が聞こえていないわけではないだろう。
「あ、そろそろ時間……」
香月は立ち上がるが、永作はこちらを見ようともせず、
「佐伯さん、アップルパイとチーズパイって一般的にどっちが好まれると思いますか?」
変わらず真剣な眼差しを続けた。
人はよく、自分にないものを、他人に求めることがある。
それがよく表された例ではないかと思った。
しかし、依田なら彼女もいなさそうだし大丈夫だろう。……まず下調べをしておいた方がいいか……。
いや、もし永作以外の人が好きだとか、彼女がいるとしたら、それを永作に伝えることができるだろうか……?
それができないのなら、下調べもいらない。
廊下を歩きながらふっと前方を見た。
「えー!?!? ままま、待って待って!! そんな……それだったら、いっそのこと、デート誘おうよ!!」
「うんうん、皆でカラオケとか行く時に誘いましょうよ!!」
「うーん……それはまだ早いかな……」
「早いの意味が分かりませんよ(笑)」
佐伯は素早く突っ込む。
「もっと、お店で、倉庫でどんなことをしているのか、どんな風なのか知りたいかな」
「あぁ、そっか、確かにねぇ……」
「じゃあ、とりあえず、次の休みの日は、倉庫、と……」
佐伯はさっそく段取りを立てる。
「どうする、本当に倉庫来る?」
「香月さんが出社で私が休みの日に、お店に仕事をしに来たフリをして倉庫に行っても不自然じゃないでしょうか?」
「まあ……不自然じゃないことはないけど。あ、お菓子持ってきました作戦にする? 私が宣伝しておくから、今日永作さんが美味しいお菓子を持ってきてくれる約束になってるんですよーって。そしたら飛びつくよ」
「手づくりがいいんじゃないですか?」
佐伯の表情は真剣だ。
「手づくりなら……アップルパイでもいいかな?」
永作は控えめに強調する。
「全然オッケイ!!!」
佐伯は親指を立ててウィンクをした。
「……」
永作は真剣な表情をして少し視線をずらした。アップルパイを作る算段をしているのだろうか。
トランシーバーのイヤホンから声が聞こえているので、多分そちらに集中しているのだとは思うが。まさか、永作だけイヤホンから会話が聞こえていないわけではないだろう。
「あ、そろそろ時間……」
香月は立ち上がるが、永作はこちらを見ようともせず、
「佐伯さん、アップルパイとチーズパイって一般的にどっちが好まれると思いますか?」
変わらず真剣な眼差しを続けた。
人はよく、自分にないものを、他人に求めることがある。
それがよく表された例ではないかと思った。
しかし、依田なら彼女もいなさそうだし大丈夫だろう。……まず下調べをしておいた方がいいか……。
いや、もし永作以外の人が好きだとか、彼女がいるとしたら、それを永作に伝えることができるだろうか……?
それができないのなら、下調べもいらない。
廊下を歩きながらふっと前方を見た。