絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ
年始はいつも通り、あっという間に時間がすぎた。忙しいのなんのってない。誰も自分以外のことなど気にしていないかのような慌しさ。レシーバーは自由に飛び交うし、売り上げは上がる。しかし、売り上げが上がったところで、予算が達成するかどうかは詰めていかないと分からない。
そんな数字のことばかりが駆け巡り、終わった頃には町は普段に戻っていて、結局今年も初詣に行きそびれた。
しかしそれも毎年の当然のこととなっていて悔やむこともなく、ぼんやりしていた一月の終わり。
「あれ、今日は愛ちゃんだけ?」
自宅でネットショッピングを少し楽しんでいたところに、レイジはノックもせず入り込んでくる。
「あ、そうなんですか?」
「みたいだね、ユーリいないし」
彼はベッドにすんなり腰掛ける。香月は特に用事もなかったので、すぐにチェアを回して向かい合わせた。
「なーんだ……今日はね、びっくりさせようと思ったんだけどなぁ」
香月は先を読む。
「もしかして、海外ですか?」
「え゛?」
だって確か、ユーリが先にネタばらししてたから。
「え、そう? どこか、連れてってくれるんですよね、一緒に。撮影の合間で今回は少し時間あるからって」
もし行き先が、ロンドンなら……。
「なんでばれたかなぁ」
レイジは半分顔を顰めているが、まあ、そのわけは言わないでおこう。
「どこですか? 場所は?」
逸る気持ちを抑えることができない。
「さあ、どこでしょー」
レイジは何を見せたいのか、携帯をいじりながら焦らす。
「ロンドン?」
「はずれ」
以外なら特に意味はない。
「フランス?」
ならまだ近い。
「ブー」
「アジア?」
「うんそう」
なんだ……近場か。
「中国?」
「ロシア」
「ロシア……」
「ちょっと意外でしょう?」
「うん……え、いつ?」
「来月初め。ちょっと急だけど」
「ロシアかあ……楽しいかなぁ……」
言いながら、実はロシアへ行こうなど全く考えていない。
「僕と一緒ならどこでも楽しいよ」
「(失笑)」
そんな数字のことばかりが駆け巡り、終わった頃には町は普段に戻っていて、結局今年も初詣に行きそびれた。
しかしそれも毎年の当然のこととなっていて悔やむこともなく、ぼんやりしていた一月の終わり。
「あれ、今日は愛ちゃんだけ?」
自宅でネットショッピングを少し楽しんでいたところに、レイジはノックもせず入り込んでくる。
「あ、そうなんですか?」
「みたいだね、ユーリいないし」
彼はベッドにすんなり腰掛ける。香月は特に用事もなかったので、すぐにチェアを回して向かい合わせた。
「なーんだ……今日はね、びっくりさせようと思ったんだけどなぁ」
香月は先を読む。
「もしかして、海外ですか?」
「え゛?」
だって確か、ユーリが先にネタばらししてたから。
「え、そう? どこか、連れてってくれるんですよね、一緒に。撮影の合間で今回は少し時間あるからって」
もし行き先が、ロンドンなら……。
「なんでばれたかなぁ」
レイジは半分顔を顰めているが、まあ、そのわけは言わないでおこう。
「どこですか? 場所は?」
逸る気持ちを抑えることができない。
「さあ、どこでしょー」
レイジは何を見せたいのか、携帯をいじりながら焦らす。
「ロンドン?」
「はずれ」
以外なら特に意味はない。
「フランス?」
ならまだ近い。
「ブー」
「アジア?」
「うんそう」
なんだ……近場か。
「中国?」
「ロシア」
「ロシア……」
「ちょっと意外でしょう?」
「うん……え、いつ?」
「来月初め。ちょっと急だけど」
「ロシアかあ……楽しいかなぁ……」
言いながら、実はロシアへ行こうなど全く考えていない。
「僕と一緒ならどこでも楽しいよ」
「(失笑)」