全部、私からだった。 ~AfterStory~


「乱暴? 僕が?」

 赤根くんはわざとらしく驚いて見せた。


「僕が先生に乱暴なんかする訳がない。
 先生に乱暴してるのは、あの野蛮人の方だろ?
 僕はただ、愛したいだけだ。
 先生――

 愛してる」


 赤根くんはソファー横に両膝を落とし、そして、

 私の目の前にその顔がゆっくりと落ちてきた。


 咄嗟にその顎を下から押し上げて拒んだ。

「いやっ! 触らないで。
 私から離れて! 近寄らないで」

 今度は本当に驚いたように目を見張る。
 そしてその後、私に落とされたのは怒りに満ちた獰猛な視線だった。


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