全部、私からだった。 ~AfterStory~
やっぱり赤根くんの言うことはどこかおかしい。
けれど、レッスンを受けたいと言っている、それを拒むのは講師である私としては躊躇われた。
「赤根くん……」
ポツリ、呟くように名を呼んでみたけれど、続ける言葉が浮かばない。
赤根くんは静かに立ち上がる。
そうして再び、私が見下ろされる形になった。
赤根くんは何故だか満足げに目を細め薄く笑う。
その表情は酷く大人びていて妖艶で、だからこそ怖いぐらいに不気味で。