全部、私からだった。 ~AfterStory~


 教室には戻らずに、そのまま自宅へと帰った。


 もう無理、限界だ。
 こんな屈辱的で尚且つ恐ろしい思い、二度としたくはない。


 あんな風にレッスンを途中で投げ出して、逃げ返って来たなんて、クビになるかもしれない。
 いいえ、もう私の方から辞めてやる。


 鍵を盗んだのは絶対に赤根くんだ。

 あの日、駅から自宅まで私を尾行した人、それも赤根くんだったのではないか、そんな気がしてならない。
 そんなこと不可能だけど、『あの』赤根くんなら、電車を途中で止めるぐらい簡単にやってのけそうだ。


 そう考えたら、この自宅も安全ではない。
 どうしよう。もう本当にどうしたらいいんだろう。


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