全部、私からだった。 ~AfterStory~
服も着替えずにベッドの布団の中に潜り込み、身体を丸めて縮こまっていると、インターホンが鳴る。
今日はやけに早いじゃないの、りっくん。
今は何となく会いたくない、けれど一人で居るのは不安で。
渋々重い身体を持ち上げて玄関へと向かった。
覗き穴からりっくんであることを確認してから、手が届く限界までドアから離れた。
身を乗り出して、腕も思い切り伸ばして、カチャリと勢いよく鍵を捻って、すかさずダッシュで寝室へ戻り、再び布団の中へ潜り込んだ。
「多恵? どうした?」
不思議そうに私の名を呼ぶ声と共に、こちらへ向かっているらしいりっくんの、安定感ある足音が聞こえる。
「何でもない」
布団の中から答えてはみたけれど、覇気のない声しか出て来ない。