全部、私からだった。 ~AfterStory~


「多恵、ただいま」

 言いながら、りっくんはそうっと布団を捲った。
 慌てて寝返ってりっくんに背を向け、同時に顔を両手で覆った。

 今私、きっと酷い顔をしている。
 りっくんに見られたくない、こんな顔。



「多恵……大丈夫か?」


 大丈夫な訳がない。
 分かり切ったことを聞くりっくんに、無性に腹が立った。


「全然大丈夫じゃないよ! 見て分かんない?
 もう嫌だ。
 教室辞める、辞めてやるっ」

 顔を隠したまま、くぐもった声で喚き散らした。

 ああもう、本当に嫌、見苦しい。
 そしてまた私は、りっくんをとんでもなく困らせるんだ。

 駄目だってわかっている、わかっているのにどうにも止められない。


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