全部、私からだった。 ~AfterStory~


「生徒たちは?
 多恵は今の生徒たちに会うのが毎日楽しみだったんだろ?
 その生徒たちと、お別れんなっても平気か?」

「生徒さんたちはきっと私についてきてくれる。
 だからお別れなんかにならないよ」

 ようやく、ほんの少し気持ちが落ち着いてきて、顔から両手を除け、ゆるゆると振り返って、ベッド端に腰を落としているりっくんを見上げた。


「お前なぁ、教室の生徒引き連れて教室辞めたら、それこそ大問題だぞ。
 下手すりゃ裁判沙汰だ、わかってんのか?
 前にもそれで教室から訴えられたピアノ教師いただろ?」

「うそ……」

「ほんとだって」

 穏やかに答えたけれど、りっくんは困ったような苦笑を浮かべた。


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