全部、私からだった。 ~AfterStory~


 そんな風に、波風立てず丸く治めるなんて、可能なんだろうか。
 私の不安はちっとも軽くならない、むしろ重みを増した気がする。



 言葉が何一つ出てこなくて、黙ったままただ、りっくんを見詰めていた。

 そんな私にりっくんは、迷いも憂いも一切ない、神々しいほどの笑顔を見せ、

「心配すんな、俺に任せろ。
 大丈夫、全て巧くいく」

 と、店内の喧騒に相反して、穏やかに柔らかい声音で言った。



 りっくんがそう言うのなら、本当にそうなのかも知れない。
 今までも、りっくんが下す判断は、必ずと言っていいほど正しかった。


 だから私は――
 りっくんのこの笑顔を信じようと思う。


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