全部、私からだった。 ~AfterStory~


 盗聴器はそのままにしておいて、普段通り過ごすようにとりっくんに言われた。
 あんな物騒なもの、早く取っ払って欲しいのに。


 そして、仕事を続けようと思い直した私に、しばらく休めと言う。


「どうして?
 教室辞めないよう説得してくれたの、りっくんじゃない!
 私がせっかくその気になったのに、今度は休めなんて」

 ついさっき、『りっくんの笑顔を信じる』って誓ったばかりなのに、もう逆らって反発している。


 私の決意なんてその程度だ。
 固くないどころかゆるゆるだ。

 仕事だってそうだ。
 しばらく休んだら、きっともう行きたくなくなってしまう。
 全部がどうでも良くなってしまう。


 自分の弱さを知っているだけに、駄目さを知っているだけに、近い未来に不安を抱かずにはいられない。


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