全部、私からだった。 ~AfterStory~


「休むったって、少しの間だけだ。
 ここに多恵一人で居るのは心配だし、俺んとこ来い、な?」

 昼間だけりっくんのアパート、夜は一緒に私のマンションに返って来るのだと言う。


「何それ、めんどくさっ。
 今仕事休んだら、それこそもう仕事行きたくなくなっちゃうよ。
 せっかく続けるって決めたのにさぁ」

 私のためを想って色々考えてくれているりっくんに対して、身勝手な理由で歯向かう私って本当に我儘で最低だ。

 けれどりっくんは、いつものごとく何ら腹を立てる様子もなく、そのワイルドな顔を柔らかく素敵に綻ばせて、

「んなことねぇって。
 『続けるって決めた』んじゃなくて、『続けたいって思った』んだろ?
 俺は多恵を信じるよ?」

 一点の濁りもない澄んだ瞳で、真っ直ぐ私を見て言った。


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