全部、私からだった。 ~AfterStory~
翌朝早く、りっくんと一緒に私のマンションを出た。
りっくんのアパートに私を送り届け、漆黒の大型4WDはそのまま仕事へと向かって走り去る。
私はそれを見えなくなるまで見送ってから、一人、アパートの階段を上った。
段差になって並んでいる錆びた赤茶の鉄板が、ビールに叩かれカンカンと甲高い音を鳴らす。
周りは田んぼばかりで。
朝の静けさの中、それはやけに響き渡った。
りっくんの部屋は――
私の想像を遥かに超える汚さだった。
よくもまぁ堂々と彼女(しかも婚約中)をご招待したもんだ、と。
酷い脱力感と共に大きな溜め息がこぼれた。