全部、私からだった。 ~AfterStory~


 気取らず飾らず包み隠さず、がモットーの男らしいりっくんだからこそ、愛してやまない訳だけども。

 ここまで汚いと、何から手を着ければ良いかわからず、掃除をする意欲が湧かないどころか消失する。


 辛うじて確保してあるベッド上のスペースに横たわって、途方に暮れているという名目でぼーっと天井を眺めた。



 なんにもしないうちに、時は刻々と流れ、気付けば出勤一時間前だ。
 大慌てで身を起こし、鞄から携帯を取り出した。


 教室へ欠勤の電話をする。

 電話に出たバイオリン講師の白鳥(シラトリ)先生に、りっくんに言われた通り、体調が悪いとデタラメの欠勤理由を伝えた。

 彼女は、「ちょっと待ってて」と言って受話器を置き、保留中の陽気なメロディーが流れる。


 嫌な予感しかしない……


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