全部、私からだった。 ~AfterStory~


 白鳥先生に代わって次に受話器を取ったのは――

 やっぱり、
 ピアノ課の主任だ。



「あなたねぇ、一体どういうつもりなの?」

 ヒステリックな声がキーンと私の鼓膜をつんざく。
 思わず、携帯電話を耳から引き離して、顔を顰めた。


 凄まじい剣幕は衰えることなく、主任は更に怒りを電話越しにぶつけてきた。

「教室潰す気なの?」


 意味がわからない。
 私一人でそんなことできるはずがないじゃない、大袈裟な、と。

 面と向かっている訳ではないという安心感から、私の思考はどことなくお気楽脳天気だ。


「どうせ仮病なんでしょ?
 今すぐ出て来てちょうだい。
 いい? 今すぐよ。
 でないとクビですから。
 これは、決して私の一存なんかじゃないわよ、意味わかるわね?」


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