全部、私からだった。 ~AfterStory~
私のその場しのぎの嘘を、赤根くんは少しも疑うことなく、あっさり信じ込んでくれた。
そういう所は、やっぱりまだまだ幼気な高校生だなと思うけれど、騙したことへの罪悪感は微塵もない。
赤根くんはハインリーケさんに、隠し持っていた彼女の薬を飲ませ、そうしてソファーの上に寝かせてくれた。
彼女の呼吸が規則正しく落ち着いたものになり、表情も安らかになってくると、安堵する気持ちと共に、再び『逃げなくちゃ』という気持ちが私の中に生まれた。
諦めたら駄目だ。
ここから無事脱出しなければ。
もう一度りっくんに会いたい。
りっくんを諦めるなんて、私には出来ない、絶対にしたくない。
最後まで一人で戦おう、そう決心した。