全部、私からだった。 ~AfterStory~


「先生……がっかりだよ。
 やっと自分の気持ちに気付いてくれたと思ったのに、違ったみたいだね。
 残念だな。
 もう一度あの地下室で頭を冷やした方がいいよ。
 そしたらきっと、先生にとって一番必要なのは誰か、自然にわかるよ。
 本当は僕、そんなことしたくないんだよ?
 でも先生の幸せのためだ、仕方ない。許して?」

 寂しげに苦笑しながら言い、赤根くんは私の腕を掴み、男から受け取るように引き寄せた。


「ま、待って、赤根くん。
 私、逃げてなんかない。
 ちょっと外の空気を吸おうと思って……」

 咄嗟に思いついた嘘を叫ぶように必死で口にする。
 けれどそれは、余りにも白々しくて、自分自身が失笑するほどに幼稚なものだった。
 

 私って本当に機転が利かない。
 きっと頭が凄く鈍いんだ、嫌になる。


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