全部、私からだった。 ~AfterStory~
「笑かすなよ、姉ちゃん、ガッツリ逃げようとしてただろ?
全力疾走だったよな?」
男が嘲笑を浮かべて言う。
何もしなくても充分憎らしい容姿だと言うのに。
益々腹が立って、殺してやりたいとさえ思った。
「この男、信用できるの?
ハインリーケさんに雇われてんでしょ?」
無駄だとわかっていたけれど、縋る思いで赤根くんを見詰めて言ってみた。
「そうだけど?
あの女と、途中までは目的が一緒だったからね。
利用させて貰ったんだ。
そして、最終的には僕が彼の雇い主となった」
目を細め、薄く微笑んで赤根くんは涼しげに答える。