全部、私からだった。 ~AfterStory~


「どういうこと?」

「先生のことを隈なく知りたいってとこまでは、不本意ではあるけど、あの女と一致していた。
 一つの仕事で二重に報酬が貰えるんだ、彼にとっても悪い話じゃないだろ?
 その後の目的は違ったから、彼にあの女の倍の金を払って、最終的には僕の目的を果たす手伝いをしてもらった。
 あの女が先生を消そうとし、僕はそれを阻止して先生を守り、そして――

 あなたを手に入れる」


 全てが、
 仕組まれたことだった。

 けれど、そんなことで私の心が動くはずないのに。
 人の気持ちは、状況やイベントなんかで、簡単に思い通りになるものじゃない。



 赤根くんの思考は拙い。

 それを知っていて、男はただ報酬欲しさに、赤根くんに言われるがままの仕事をしただけ。

 最低、ほんと最低だ。


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