全部、私からだった。 ~AfterStory~
「俺が奥さんに頼んだんだ。
盗んだのは俺ってことにして。
奥さんが返すのが一番安全だとか何とか言ってやったっけな」
背後から男が答えたので振り返れば、
その時のことを思い出したのか、男は可笑しそうにニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。
本当に、限りなく不愉快な男だ。
そして気持ち悪い。
「じゃあ、盗聴も?
盗聴器を私の部屋に仕掛けたのもあなたね?」
確信を込めて、真っ直ぐ男を睨みつけながら問う。
「ああ、それ、バレてたか。
さすがは刑事の女だな」
何ら悪びれることなく、男はヘラリと笑って言った。