全部、私からだった。 ~AfterStory~
「平澤先生は、僕にとっても大切な人だ!」
赤根くんは叫ぶように言い返すと、城光寺が落としたままの状態で転がっていた折り畳み式ナイフに駆け寄った。
それを拾おうと身を屈めて手を伸ばした瞬間、りっくんがステップを踏むように一歩踏み出して、その足を軸足にして、もう一方の足でスコーンと蹴り飛ばした。
ナイフはクルクル回転しながら床を滑り、壁に跳ね返って動きを止めた。
けれどホッと一息つく暇もなく、赤根くんはすぐさま私の傍へ戻って来た。
私の首に左腕を巻き付け、もう片方の手で、着ていた制服ズボンのポケットから赤根くんが取り出したのは、カッターナイフ。
そうして、キリキリと嫌な音を立てて刃先を5センチほど突出させて、私の首筋に宛がった。